過去日記だ!過去日記があそこに!!
 log:10/11~12


12/14(火) All weather type
全天候型おもち
と書かれたメモを発見しました。

なにそれ?




12/13(月) これで何回目かわからない夢の話
遂に気づいてしまったのです。
自分の夢に色が付いているという事に。


注意深く視聴してみるとですね。
ところどころカラーになっていることが分かりました。

たとえば重要な登場人物はカラーで、
どうでもいい通行人とかは白黒。

雰囲気を出すだけの背景は白黒。
その場所自体が重要なフラグになっている場合はカラー。


ーといった具合に使い分けられていました。
これは私の見解ですが、
脳がサボ…いえ、経済的に活動しているのではないかと思うのです。


あと、色に限らず、
遠景なんか描かれてすらないシーンもあれば、
どうでもよさげなバス停の看板がやたら細かく描かれていたり(経済的か?)

半漁人がすごく鮮やかな青色なのに背景が灰色。
喰われた女の子はアニメチックに描かれているのに、
戦っているおっさんはアクション映画俳優のようなリアル系。

あと、ストーリー構成もひどいですね。半漁人不死身すぎ。
前半の3匹のクジラに追いかけられるシーンはもう少し短い方がよかった。
加えて全体的にカメラワークが気に入らない。

ー以上です監督。




12/12(日) スルーできるやさしさ
クリスマスが一か月前から祝われる昨今、
いかがお過ごしでしょうか?

しかしながら、上には上がいるもので、
もう河原で凧をあげている人も見られます。
フライングですね。




12/11(土) こたつの力
猫がこたつで丸くなるんじゃない、
こたつが猫を丸くするんだ!

と、こたつが言ったら感動すると思います。




12/9(木) コンビニであった怖い話
コンビニ店員が私の前に並んでいた客にこう言ったのです。
「すいません、ここセブンイレブンですので。」

覗いてみると、
その手にはローソンのカードが・・・




12/5(日) 足し算
大嫌いなものも、
後ろに「木端微塵」と付けるだけで愛せる気がします。




12/3(金) 神を憎んで人を憎まず
冬ですね。
そんな気配は見せることなく暖かい日を用意する冬に、
わかっているじゃないかと評価をしています。

寧ろ、今まで何故にそこまで寒くしたのかと、
小言を言うべきなのかもしれませんが。


さて、秋の収穫も終わり・・
え、

それはまずいですよ。
収穫なしに冬を迎えるのは。


こんなご時世なので刺されないよう
先に言っておきますが、

受験生の方の事ではないです、
独身の方のことでもなければ、
窓際のお父さんの事でもないです。
農家はもちろん関係ありません。

安全確保、よーし。
ネタはなくなりましたが、
生きていれば、また機会は訪れるでしょう。

それではまた〜




11/27(土) ああ素晴らしいそれ達よ
素晴らしい。
皆が皆。
歓迎するそれは。

何処かの誰かに無価値です。


皆が皆。
残らず全て。
例外とは何者か。

何処かの何者かに無価値です。
本当に無価値です。


素晴らしい。
本当に素晴らしい。
素晴らしく無価値です。

何処かの誰かに本当に無価値です。
これが素晴らしくないなんて事があるのでしょうか。
実に素晴らしい。




11/21(日) 貴方の席がない
「なんでブランコの乗るところがなくなってるの?」

時として
子供は回答のしようがない質問をしてくるものです。

ーこれは、
小惑星イトカワって、鍋の具材としてスーパーで売ってそうだな、
と考えているときに道端ですれ違ったある親子の会話です。


子供の指差す先を見ると、
道沿いの幼稚園の庭に置かれたブランコ
2本の鎖だけ残して座るところがない状態になっていたのです。

確かに遊具として不自然な状態ですが、
なんで?と聞かれてもどうしたものかと思うのです。

ここで、模範解答を脳内検索してみる。

・準備中?
・安全上の問題から撤去?
・予算の関係で完成を先送り?
・悪童がお持ち帰り?
・むしろ先生がお持ち帰り?
・この状態で完成された遊具?
・エアブランコ?
・筋トレ用?
・座る部分がひきこもり?
・座る部分が光学迷彩?
・妖怪二本鎖?
・例の組織が・・

これだ、間違いない。



その子供の母親はこう答えました。
「なんでだろうねー」



ですよねー



追記:
11年4月現在、この幼稚園は取り壊され駐車場となっております。
まあ、こんなご時世ですからね。

しかし、まあ、
あれだけ解答例挙げといて一つも当たってないとは・・・
現実とはいつも想像の斜め上を行くものです(逆)



11/18(木) 季節外れの吸血虫

…なんでしょうね。

私が撮影すると、
実際より小さく映ってしまう気がします。

このサイズだと、ちょうど蚊のように見えますね。
・・・・・
そうか、蚊か。

ー。

皆さんこんばんわハルマK7です。
今日はの写真がおいしそうに撮れたので、ご紹介いたします!





11/12(水) メモ1031
カヌーとギターを間違えて
波間に漕ぎ出すギタリスト




11/1(月) 13(いざ)鎌倉
13世紀!

うそです、
そういう意味ではありません。
確かに13世紀ではありますが、そういう意味ではありません。






ここより、
突然日記企画第2弾、架空探検船の航海日記をお送りします。

尚、日付が上の記事と被っているものがありますが、
元々一つだったのを読みやすいように分離しただけなので問題ありません。



12/6(月) はいぱ〜まるで成長していない
はいぱ〜建設的企画
"架空探検船"の航海日記。


解説:
存在するのかすら怪しい探検船からお送りいたします。
荒れ狂う海も、水平線上に浮かぶ幻も、未知の脅威にさらされても、
想像力を追風に(以下略)


☆一日目☆
架空探検計画発足。
(要するに何もしていない。)

まあ、アレです。
いきなり始まりません。
何事にも準備が必要ですよね。


年末までに何か新しい発見があるといいですね。
・・・・
3年ぶりに頭に花が咲いているようです!

はい、何も考えていません。
テキストは過去日記07年4月〜の架空アサガオです。




12/7(火) 二日目

☆二日目☆ "架空探検船"の航海日記。
『出航!架空探検船』


少なくとも私が乗り込んだ船のクルーは皆ぐったりしていた。
ある者は甲板にうつ伏せになって、
ある者はマストにもたれかかって、

皆、果てしなく多い仕事の一段階目がやっとこさ終わったような顔で、
目が死んでいる。

−虚歴1040年、12月7日、ベコソエニア沖、快晴−



これから先は長いのにそんな事ではこまるゾ!
ーと、先ほど船員たちを注意した船長がデリックに吊るされている。
出航から反乱がおこるまで、この間わずかに27秒であった。


出発前に今回の探検のスポンサーであるベコソエニア国王を前にしての宣誓で、
2回も噛んでしまった探検隊長は、
関係者一同に取り囲まれ「この人は、その…間違えました!」と降ろされてしまったが、

替えのヒゲ(船長)が8回も噛んでしまったため、
「やっぱり最初のほうでお願いします」と、全員で土下座した。
ジャパニーズDOGEZAである。

そもそも、ベコソエニアの公用語であるベコベコ語は、
世界一噛みやすい言語の名を冠して幾百年、今もその地位を守り続けている。
それはもう、ベコソエニア国民の最も多い怪我が口の中の怪我というくらいだ。

そして、
我々一同は国王を始めとした出迎えの人々が唖然としている隙に、
逃げるようにしてベコソエニアのメーハー港を後にした。


危なかった、
本当に危なかったのだ、
これを逃すと世界的不況の中、新しいスポンサーなど見つかるわけがないからだ。

まあ、
海に出てしまえばこちらのものだ。
我々を大冒険へと誘う新たな風に、吊るされた船長が揺れている。




12/8(水) 三日目

☆三日目☆ "架空探検船"の航海日記。
満天の星空の元、
燃え上がる炎と立ち込める黒煙。

日付も変わったばかりの暗いベコソエニア沖。
海面に突如として現れたキャンプファイヤーに、
私の乗っていた探検船マーハッタワーヤ号は一時騒然となった。


そう、
ファイヤーの薪は船団内でも最大のウォウユチ=クコシ号であった。

−虚歴1040年、12月8日、ベコソエニア沖、快晴−



虚歴671年の世界一周達成は、
同時にこの世界が球体とは言い切れないという事実を人類に知らしめた。

そして正確な世界の形は解明されないまま時は流れ、現在に至る。
今回の探検は、新大陸を越えさらに西進、
俗にいう球体説限界点の向こう側を調査することだ。

この目標は、
出航してから16時間あまりで探検船団3隻中の1隻を喪失してしまった我々に、
後ろ暗くのっそりとうすら重くのしかかった。

翌朝、
沈没したウォウユチ=クコシ号の乗員救助も終わり一息ついた後、
残ったもう一隻の探検船リバーマイ号を横付けし反省会が行われた。

昨夜未明、若い水夫が夜食に釣った魚を隠れて焼いて食べようとしたところ、
七輪の火が倉庫内の物資に引火したのが沈没原因だったようだ。

早くも事故と仲間割れによって探検が終わってしまうかと思われたその時、
探検隊長は、沈没の際に自ら持ち出した音楽レコードかけ、
「不景気になり、歌われる幸せのレベルが下がった」

こんな時だからこそ、死者が出なかったことを喜ぶべきだ。
それに、こんなのうちの地元ではよくある事だし、気にすることないよ。
と、皆をまとめることに成功した。


航海2日目、
乗員の増えた船内は炭っぽい匂いと、レコードの奏でる音と、暖かい空気に包まれ、
一同、離れつつある大陸の遥か彼方にある隊長の地元に思いを馳せるのであった。


−−−−−−−−−−−−
なんでまた私?
この企画のレギュラーだから
ひなたん?
ひな探




12/9(木) 四日目

☆四日目☆ "架空探検船"の航海日記。
鶏の声が聞こえる。
1・・・2、どうやらここには二羽鶏がいるらしい。


昨日の民族大移動のせいでベッドが隅に追いやられた結果、
寝覚めがすこぶる悪い。
これといった予定もないので、今日はこの鶏を探すことにした。

−虚歴1040年、12月9日、大西洋上、晴れ−



探検船には犬や猫など様々な動物が乗せられていた。

猫はネズミ対策、犬は上陸チームのメンバーだ。
他にもヒゲ(船長)が飼っているオウムや、
ヤヤ航海士が持ち込んだカブトガニ等がある。

実は、出発前には牛や馬も乗せようという話があったそうだ。
さながら箱舟である。
まあ、箱舟にしては人間の割合が多いのだが…

これも、昨日沈んだウォウユチ=クコシ号の乗員や運び出された物資の8割が
この船に加わったからだ。

現在、この船自慢の"お土産スペース"(倉庫)が船員スペースに改装されている。
改装が終了すれば、また部屋を広く使えそうである。

もっとも、これはマーハッタワーヤ号が新型の輸送船だったからできる事で、
中古の軍艦を改装したリバーマイ号にはできない芸当である。

スペースの問題ではない。
無理な工事をすると壁が崩れ、水が漏れ、船体が軋むそうだ。
そんな船で大丈夫なのか疑問だが、当の乗員達は平然としているので大丈夫なのだろう。


航海3日目、
今日は特にこれといった事件もなく、無事に一日が経過した。
この調子でこの船旅も進めばいいと願う。

余談だが、
この船には鶏は乗せていなかったらしい。リバーマイ号にもだ。
ただ、沈没したウォウユチ=クコシ号には2羽積まれていたらしい・・・




12/10(金) 五日目

☆五日目☆ "架空探検船"の航海日記。
こうなることは予想がついていたのだが、暇だ。
甲板に出ても水平線しか見えない、船内にも特に変化はない。

この暇はかなり暴力的だ。
持ち込んだ本も読み尽し、カードにも飽きてしまった。
ヒゲ(船長)はじきに慣れると言っていたが、きついものがある。

この日記も
以後何かしらの動きがあったときのみ記入することにする。

−虚歴1040年、12月10日、大西洋上、晴れ−



船の改装は順調で数日後には完了すると聞いたので、
私はこれから改装スペースに娯楽設備を設けるよう掛け合ってこようと思う。

あと、これは気のせいかもしれないが、
今朝からリバーマイ号が前のめりになっているように見える。
誰も気にしている様子がないので私の思い込みなのだろうか。


航海4日目、
今日の記録はここまで、
次回は、私の考えた映画館が改装スペースに完成したことを記入したいものだ。

・・・
やっぱり傾いてると思う。




12/11(土) 六日目

☆六日目☆ "架空探検船"の航海日記。
顔面にあたる波風が、訪れた事ないはずの北極を思い起こさせる。
我々救援チームは雪降る中、短艇で仲間たちの元へと向かっていた。

いつの間にか船首にできた亀裂から浸水していたリバーマイ号は、
今朝になって前方へつきすぎた傾斜からスクリューが水上に出てしまい、
航行不能に陥っていた。


ー結局
なんとか最悪の事態は免れたもの、
しばらくは船団の速度を落とさざるをえない状況となってしまう。

−虚歴1040年、12月11日、大西洋上、雨−



再び日程の遅延が予想される今、
船に残っている連中にはより一層の責任がのしかかるだろう。
この日時間を同じくして、例の娯楽設備を決めるカード大会が行われていたのだ。

・・・
僚船の緊急事態なのに。


ここからは、私が戻ってから聞いた大会の状況を書きたいと思う。
救援の様子を書いてもいいのだが、私が期待している映画館組が優勢なのと、
あの地獄のバケツリレーを思い出したくないので別の機会にしよう。

汲んでも汲んだそばから新たに湧き出てくる海水に絶望を覚え、
寒さで動かなくなった仲間を助けようにも、持ち場を離れると沈む恐怖から見捨てる我々。
そしてせっかく階段まで運ばれたバケツをひっくり返す探検隊長…

・・・ね。


カード大会のルールはいたって簡単、チェンジなしのポーカー1発勝負。
テーブルについた4人中最も運のいい参加者が勝ち抜き、トーナメントの頂上を目指す。
とても民主主義的な大会である。

何故って?
参加に制限がないので、同じ考えの人がたくさんいればそれだけ有利なのである。
そのため、ペットのネコを参加させる者まで出たそうだ。

ちなみに、
私を含む映画館組は割と少ない方で合計13名となっているが、
メンバーの一人である元暗殺者のピーターが数的不利を覆している。

彼の上着の袖口には暗器を仕込むポケットがついており、
そこにあらかじめ役の出来上がったカードが仕込まれているのだ。
加えて、素早くカードを入れ替えるテクニックは完璧だった。

その技術を持って今日行われた予選では全戦全勝することになる。
はずであった。


これは、本日の予選最終戦のことである。
テーブルには予選2回を勝ち抜いた強運の持ち主が集まった。

1人目は、
かつて袖口システムキッチンと呼ばれ、今は調理場でジャガイモの皮をむく日々。
そんなに間違ってもいない、我らが映画館組のイカサマアサシン、ピーター。

2人目は、
幼い見た目からは想像できないが、第4次南ベコ海海戦をくぐり抜けたベテラン。
唯一の友達は頭上のカブトガニだと言う船内のナンバー2、ヤヤ航海士。

3人目は、
殺しても死なないことに定評がある、ミスターダイハード。
そしてなぜかヒゲの量が出航時の倍になった船長。

4人目は、
誰もそのカツラの下を見たことがない船内きってのギャンブラー。
髪の毛以外にブレを感じさせないカジノ組リーダーのミックという予選最大の見せ場だ。


ピーターの袖口のカートリッジには、フルハウスがセットされていたのだが、
ヒゲ(船長)がオープンしたカードはなんとフォーカード、
航海初日に半日逆さ吊りにされても生きていただけあって悪運が強い。

この時点で、ミックはカツラを押さえながら席を立ってしまった。
ピーターは冷静に引いたカードと持ち込んだカードを組み合わせて、エースのフォーカードを作る。
映画館組のギャラリー達はピーターの勝利を確信した。おそらく本人もそうだっただろう。

だが、次の瞬間

ヤヤ航海士の頭に乗っていたカブトガニがブーメランのように回転飛行し、船長のヒゲ両断。
頭の上に着地すると同時に、船長のヒゲの中からバラバラとカードが散らかった。
「あー!このヒゲ、イカサマだ!」あちらこちらからあがるブーイングの大合唱。

思えば、我々救援チームが船に戻った時デリックに吊るされ、
不気味に揺れていた麻袋があったのだが、中身はヒゲだったのか。

青ざめる映画館組を前に、笑顔で手札のワンペアを晒すヤヤ航海士。
ピーターは黙ってカードを伏せるしかなかった。
その傍ではミックが「勝てていたのにー!」と悲鳴を上げていたそうな・・・


さて、最強のピーターを失ったのは我々映画館組には痛手であったが、
他のメンバーが2人も決勝に勝ち残ったのは大勝利といえる。
そう、最終テーブルの50%を我々が持っているのだ。

これはもう勝つ他ない、
参加できなかった私の分まで戦ってくると2人は力強く答え、
この航海本来の目的を忘れた我々は明日に備えた。




12/12(日) 七日目

☆七日目☆ "架空探検船"の航海日記。
倉庫の追加改装案を説明に行ったとき、
作業にあたっていた大工は心底困った顔をしていた。

どうあれ、
あの死闘を潜り抜けて決まった事を今更変えるわけにはいかない。
大会参加者全員で頭を下げ、なんとか説得にこぎつけた。

−虚歴1040年、12月12日、大西洋上、晴れ−



嫌な感じはしていたのだ、

探検隊長のネコミミが奪取されたとき。
探検隊長がストレートフラッシュを引いたとき。
最終戦にシード枠が存在していることを知ったとき。

そもそもトーナメント表に「ネコミミ」と表記した奴は誰だ。
愚痴る私に、ミックは船長の名前も「ヒゲ」でエントリーされていたと教えてくれた。
興味がないから気づかなかったとヤヤ航海士。私もだ。

敵の奇襲によって分断された制圧部隊は私を含めて僅かに3名、
合流しようにもどこに置いてあったのか大量の土嚢によって
通路が塞がってしまった。

そして、半分の長さになった通路に不敵な声が響き渡る。
「我々は船長の許可を得た、決定は今日の日没に下されるだろう!」
そう言い残すと後部階段へと謎の影は姿を消した。

連中が真っ先に甲板へ向かったのはそういうことだったのか。
何としても日没までにアレを取り返さなくてはこの船の秩序は保てない。



この反乱は倉庫の残余スペース改装案を決めるカード大会の決勝戦直後、
納得できない船員たちが、「勝者は探検隊長ではなくネコミミと書いてある!」
ネコミミを奪い取るとこれを持つものに決定権があるはずだと逃げ出したのだ。

これに呼応する者たちが反乱組織「真の正義」を結成。
大会でほとんどの乗員が集まっていた倉庫に鍵をかけ、船を制圧した。

操船やその他作業にあたっていた連中は既に敗北が決まっていた者ばかりだったのもあり、
意外なほどあっさりと反乱が成功してしまった。


当初は呆然としていた我々も、
このまま倉庫にいては夕食が作れないというピーターの声で目を覚まし、
制圧部隊を編成、倉庫の鍵を壊すと「真の正義」を指揮するメホゾカ植物博士を追った。

ところが、中央階段上からの土嚢雪崩を逃れたのは部隊の先頭にいた我々3人のみ、
分断された後続は当分の間は撤去作業にあたることになる。
通路上では無敵と思われたオールと木箱で完全武装したファランクス戦術が仇となった。

今や船長も彼らの手中にあり、
日没直前にネコミミをめぐって連中だけで再度決勝を行うつもりだ。
もはや時間がない、残された我々だけで先へと進むことになった。


後部階段で待ち構えていたのは料理長のケビンだった。
ミックが甲板から差し込む西日と奥の手を使い制圧。
ケビンが倒される直前に残した言葉は「うおっ、目が…」だった。

甲板上の有象無象を思い出すのも恐ろしい方法でヤヤ航海士が薙ぎ払ったところで
あることに気付いた。
デリックにはまだヒゲ(船長)が入っている麻袋が吊るされていたのだ。

どうも嫌な予感がしたので、麻袋を降ろし中を開けると、
ベコソエニアの有名おもちゃ会社が作っているベコソベアという熊のぬいぐるみが出てきた。

このベコソベア、
非常に顔が怖く、お子様の目の届かないところに保管する事が推奨されているだけあって
その恐ろしい面構えに思わず固まってしまった私とミックは、背後の敵に気付けなかった。


振り返ると、銃を構えたヒゲ(船長)とメホゾカ植物博士がいた。
初めからこうなるように3人で仕込んだのさ、とその後ろからヤヤ航海士が現れた。
「こいつらグルじゃないかー!?」ミックが本日14回目の悲鳴を上げながら船内に逃げて行った。


私はそのまま船長室に連行されると、テーブルにつかされた。
カードを配るヒゲ(船長)の後ろには例のブツが置かれている。
配り終わるとヒゲはこう言った。真の決勝戦を始めよう。


真の決勝戦は私が引いたスリーカードによって決着がつけられた。
居酒屋がよかったのだがなぁ、とわざとらしくつぶやくヒゲ。
いいや植物園を作るべきだね、と博士が続ける。

銃口を向けながら言われても困るものがある。
そもそも私は本来の結果を反映させるためにここまで来たのだ。
「よくぞ言った!」

突然の声に振り返ると、背後の扉が開き、
ミックを先頭に分断された後続の制圧部隊を連れて船長室になだれ込んだ。


解放された私が甲板に出たときには、すでに日が沈んだ後であった。
「真の正義」メンバーは一晩反省室(倉庫)に閉じ込められ、
船長と博士はお馴染みの指定席に案内された。

初めから船内の不穏分子を炙り出すつもりで計画に参加していたヤヤ航海士は
一度解放されたが、もう一通り殴ってくると自ら倉庫へと入っていった。
友達ができない理由がなんとなくわかった気がする。

ネコミミはミックによって探検隊長に返された。
これによって荒れに荒れた改装案も探検隊長ので決定することになる。
私もピーターに上着を返しに行くとしよう。


航海6日目、
船の改装完了はまだ先だが、今日は部屋が広く使えそうだ。
不在の連中には明日、倉庫の寝心地を聞いてみよう。




12/13(月) 七日目

☆七日目☆ "架空探検船"の航海日記。
新大陸からのラジオ放送が聞こえる。
ようやくここまでやって来たのだ。


僚船とはぐれ、海藻をスクリューに巻き込みエンジンを壊し。
3度目の船内反乱を鎮め、扇動したメホゾカ植物博士を吊し上げ。
ようやくここまでやって来たのだ。

−虚歴1040年、12月13日、大西洋上、曇り−



今回は無事でしたね。
私の横で博士を見上げているヒゲ(船長)に声をかけると、
私は常に正義と共にある、今回は勝利した側にいただけだ。彼もそうだろう。

ーと、返した。
なるほど懲りないわけだ。

メインマストには倉庫の隅に置いてあった為かやたらと汚れた帆が張られている。
壊れたエンジンは新大陸東にあるモビ諸島のとある港で直すそうだ。
灰色に濁った空の下、海藻を握りしめた博士はどこか幸せそうだった。


リバーマイ号の姿が消えた。
夜明けと同時に見張りからの報告がはいる。
引き返してみたものの薄い霧が立ち込めていることもあり、発見には至らず。

この時、無線機を操作していたソトヤスが新大陸からのラジオ放送が受信できることに気付く。
リバーマイ号には気の毒だが、皆この放送に夢中になってしまったため、
先に補給地点で待っているだろうと楽観的な結論が出され、捜索は打ち切られた。


先の連中が昼食を済ませた頃(一度に作れる量の関係で食事は二回に分けられる。)
仲間を見捨てた罰が当たったのだろう。
スクリューが海藻を巻き込み船が停止してしまう。

時を同じくして、
ラジオ放送司会の女性を巡って始まった不毛な喧嘩から、
船内全体を巻き込み、人類の未来を賭けた船内反乱へと発展し、

その間ほったらかしにされていたエンジンが負荷に耐え切れず出火。
反乱は一時休戦となり、我々の未来を賭けた消火活動が展開される。
1時間後消火、エンジンは使用不能に。

その20分後、再開された反乱は終結。
保守派であった「新司会の方が美人に違いない派閥」が勝利する。
これ以後、旧司会派はこの話題での発言力を弱めていくことになる。


航海7日目、
全行程の半分にも満たないうちからボロボロの我が船団は、
果たしてこの航海を無事に終えることができるのか、今更ながらに疑問である。




12/14(火) 八日目

☆八日目☆ "架空探検船"の航海日記。
モビ諸島東端にあるセントカハンサ港に到着する。
これはもう、記録などつけている場合ではない。
陸地が私を呼んでいる。

−虚歴1040年、12月14日、セントカハンサ港、曇り−



到着するなり、駆け出すメホゾカ植物博士。
諸君!この探検が成功したとしても歴史に残るのは船と隊長あと出資者の名くらいだ。
しかし、もしここで新種の植物を発見したら発見者の名前を付けることを約束しよう!

短くも魅力的な提案を終えると、船員の半数を引き連れ森の中へと消えてしまった。
博士の暴走もこれで3度目だ。
ここまでくると彼のカリスマを認めざるを得ない。

私もネタを仕入れについて行こうと思ったのだが、
僅かにタイミングが遅かった為、荷物の積み込み要員として捕まってしまった。
自分の冷静さが憎い。


よく考えたら、
博士はこの作業が嫌で逃げ出したのかもしれない。
そんなことを呟きながら港内を歩いていると、何やら困った顔をしたソトヤス技師に出会った。

リバーマイ号がまだ到着していなかったらしい。
報告を聞いたヒゲ(船長)は「これから来るのだろう」とまるで心配していない。
それとは対照的に「俺がラジオなんか付けたせいだ…」と落ち込むソトヤス。


ふいに上着の中から不気味な像や謎の道具を取出して妙な呪文を唱えだすソトヤス。
「おお、神よ、私を許したまえ〜」
いったいどこの神様なのだろう、少なくとも私は知らない。

埠頭の真ん中で店だしてんじゃねぇ、とヤヤ航海士に蹴り飛ばされ、
広げた道具一式とソトヤスが海に沈んでいく。
これによって少なくとも残念な神様だということは分かった。


結局、その日の夜になってもリバーマイ号は姿を見せず、
無線も通じることはなかった。

もっとも、
私が救援に乗り込んだときのリバーマイ号は無線が故障していたので、
未だ直っていない可能性もあるが、

あと、これはどうでもいい話なのだが、
博士率いる新種植物調査隊も戻ってこなかった。
遭難でもしたのだろうか、いい気味…ではなく心配である。




12/15(水) 九日目

☆九日目☆ "架空探検船"の航海日記。
エンジンの修理が難航している。
リバーマイ号はまだ現れない。
新種植物調査隊も戻ってこない。

これに加えて、
探検隊を抜けたいという連中も出てくる始末。
我々は再び海に出れるのであろうか。


−虚歴1040年、12月15日、セントカハンサ港、晴れ−



港の酒場で聞いた情報では、
次の目的地までの航路上にあるウビラ内海に海賊が蔓延っているらしい。
船団内で唯一対水上武装を持たないこの船が残ってしまったのは完全に計算外である。

これだと、仮にエンジンの修理が完了しても
リバーマイ号が合流しないことには危なっかしくて出航できない。

そして当のリバーマイ号は未だ音沙汰なし、船員達の中で沈没説が浮上する始末。
これを聞いたヒゲ(船長)は「沈没してるのか浮上しているのかわからんな。」
と相変わらずやる気が感じられない。

上陸時のリーダーである探検隊長はというと、
森の中は何かがいそうだから怖いと言って甲板でごろごろしている。
いったいこの人は何をしに来たのだろうか。

この先のことを話し合おうにも、
船員の半数が博士に連れていかれ、一向に戻ってこないのでどうにもならない。


こうなると、
探検隊を抜けたいという気持ちもわからなくもない。
なんとかしなくては…




12/16(木) 十日目
終わるタイミングをミスった。
・・・
というか進行をミスった。長すぎる。
夢オチはどうでしょう?
架空って付いてる時点で出オチなんだけどなぁ・・



☆十日目☆ "架空探検船"の航海日記。
遂に、我々は3隻すべての船を失ってしまった。

この日の夕方には、
船長から帰りたがっていた者達に帰国の許可が出され、
ここまで一緒にやってきた仲間たちを見送る。

皮肉なことに連絡船は、
我々が自力で行くことの叶わなかった新大陸経由なのだそうだ。

−虚歴1040年、12月16日、セントカハンサ港、曇り−



マーハッタワーヤ号盗まれる。


昨晩のことである。
なかなか帰ってこない調査隊は「遭難した」と判断され、
捜索隊が編成される。

さらに、一向に合流できないリバーマイ号に対しても捜索隊が編成され、
港の小型船を借り、周辺海域を見て回ることにした。

夜明けと同時に捜索が開始され、
それぞれ、セントカハンサの森と港外へ出発した。
この時、両方に対して人員を割いたため、船にはほとんど人が残らない状態にあった。

昼になり、森へ入った捜索隊が原住民と仲良く酒を渇喰らっている博士以下調査隊を発見。
15分ほど説教をした後、調査隊を回収し港に戻る。
この時点で時刻は午後1時。

そこで彼らは、黒煙を上げながら全速で港外へ出ていくマーハッタワーヤ号だった。
探検隊の旗は降ろされ、替りに何とも言えない髑髏の旗が上がっているではないか。

「海賊だ!」急いで追いかけようにも、港の船はほぼ出はらっており、
どう考えても追いつけないであろう小型の漁船が残るばかりであった。

船に残っていた連中は桟橋に縛られていた。
彼らの話によると、
あまりの恐怖で覚えていない・・・そうだ。文字通り話にならない。


午後2時、海へ出た捜索隊が合流する。
しかしマーハッタワーヤ号に追いつくことはできなかった。

ここで、さらに悪い知らせが入る。
新大陸から入港した連絡船の船長が、
リバーマイ号の沈むところをウビラ内海で見たというのだ。

何故そのような海域にリバーマイ号がいたのか、
不可解な点はあるが一つの手がかりも持たない我々はその話を信じざるを得なかった。


ヒゲ(船長)が出した帰国の許可を得て去りゆく仲間たちを乗せた連絡船を見送る。
その晩、残った連中が集まった港の酒場はにわかに活気づいていた。
それが希望なのか諦めなのかはわからない。

ヒゲの「何故残ったのか」という問いに、
探検隊が解散されていない以上、記録を続ける必要があるからと答えると、
にやりと笑い、隣で飲んでいたメホゾカ植物博士に目くばせした。

博士は立ち上がると、残った連中に向かってー…


出発から9日目。
我々は新たな局面へと漕ぎ出す事となる。
酒場では未だに拍手喝采が鳴り止まず、夜は更けていく。




12/17(金) 十一日目
どうでもいい話だけど、前後編ってなんか感じ悪くない?
そうですか?


☆十一日目☆ "架空探検船"の航海日記。
そこはモビ諸島南の岩礁地帯にある島だった。
安全な入口は南側の一か所のみだが、
我々の船団は満潮を待ち、西側の岸壁の隙間からの侵入が可能だ。


船団は、単縦陣で暗闇の中、静かに目標を目指す。
先頭の船の明かりが消えると、後続の船の明かりが順に消えてゆく。
奪還作戦は開始された。

−虚歴1040年、12月17日、モビ諸島、曇り−



最後尾、船団の中でも一番いい船(昨日リバーマイ号捜索に使ったもの)の明かりが消える。
舵を握るニムハンは僅かな星の明かりだけで前の船を見失わないよう必死だ。
この船を仕切るヤヤ航海士は、甲板に仰向けになっている。寝てはいないだろうなぁ。


我々の船を盗んだ海賊のアジトはあっけなく発見された。
連日酒場に入り浸っていた船医のじいさんが地元の漁師から、
海賊が近所にアジトを構えたという話を聞いていたそうだ。

加えて、電信技師のソトヤスがリバーマイ号を呼び出す為、
一定時間ごとに位置情報を発信するようにした仕掛けがそれを証明してくれた。
この時ばかりは、皆で彼が信仰している謎の神に祈りをささげた。

そして、マーハッタワーヤ号奪還作戦が計画される。
奴らのアジトまでどうやって行くのかが問題となったが、
船長が酒場の店主に話をつけると、昼までには周辺の漁船を主としたありったけの船が集まった。

いったいこの二人の間に何があったのか知らないが、
これぞまさに渡りに船である。

編成された奪還船団は小型船6隻、動員人数50名。
探検隊の残留組と、船長に借りがある連中、博士が仲良くなった原住民からなる。

船同士の水上戦で使える武器は無い為、夜間の奇襲を行うことになる。
そこで、侵入困難な西側の岸壁の隙間からアジトに乗り込めるよう、底の浅い船を厳選する。
海軍上がりのヤヤ航海士が眠そうな目をしながら提案したアイデアだ。

武器など必要な道具を揃え終わる頃には日は傾き、
原住民たちの戦士を送り出す儀式で見送られ、我々はセントカハンサ港を後にした。
まさかこんな形で港を出るなどと、誰が考えただろうか。


ー突如、
先頭の船の明かりが再点灯される。
「イレギュラーだ!」ニムハンが叫ぶ。

島の北側から船が出てきたのだ。
夜目がきくがバリルが指揮する2番船より戦闘艦を示す8の字に明かりが揺れる。

奇襲がばれた!?
哨戒?、いや見張りなら小舟で十分だ。明かりが発見された?、それは考えられない。
思えば、あの酒場に海賊の仲間がいた可能性もあるのではないだろうか。


「4番から6番一斉回頭、我に続け!」いつの間にか立ち上がっていたヤヤ航海士が指示を出す。
大声で叫べば無線を通さなくとも全船に聞こえるというのは何とも前時代的だ。
2つに分かれた船隊が現れた船を囲むように展開する。

第2船隊は足が速い上にまだ明かりをつけていない。
左舷側から海賊船に乗り込むぞ。言うなり鉤付きロープを持ってくるヤヤ航海士。
暗くてよく見えないが、すごくいい顔をしていたような気がする。


ようやく囮の第1船隊に気付いた海賊船は速度を落とし、サーチライトを点灯させる。
「鈍間め!」その間に接近した6番船からヤヤ航海士が接舷を待たずに海賊船に飛び乗った。
接舷位置につけるとロープが放たれる。気のせいか人間のジャンプで届く高さかに見えない。

他の船員たちも次々と海賊船へと乗り込む、
ニムハンに後を任せると、私もロープに手をかけた。


後半へ続く
"架空探検船"の航海日記。




自分で感じ悪いって言っておきながら・・・




12/18(土) 十一日目

☆十一日目☆ <後編>"架空探検船"の航海日記。
奥の方にある焚火の明かりで数名の海賊がいることが分かる。
そして目的のマーハッタワーヤ号を含む盗難船が三隻、
中型の海賊船が2隻確認できた。

エンジンを切り、手漕ぎで潜入した船団は再び2つの船隊に分かれた。
ヒゲが率いる第一船隊は湾内に停泊しているマー八タワーヤ号の奪回に、
ヤヤ航海士が率いる第二船隊は上陸し焚火の向こう側にある小屋を襲撃する。

−虚歴1040年、12月17日、モビ諸島、曇り−



奇襲は完璧に成功した。
音もなく浜辺に到着した第二船団に気付かない間抜けな見張りの海賊達が、
ピーターの投げナイフで倒される。

上陸してから改めて見ると、セントカハンサ島原住民伝統の夜狩用ペイントを施された船体は
確かに暗闇に隠れて見えない。
この報告を元に帰国後迷彩の研究が進むことになるのだが、それはまた別の話としよう。

続けて投げ込まれた手製の爆弾で小屋が吹き飛ぶ。
ちなみにこれを作ったのは酒場の娘だ。以前ストーカーを退治するために何個か拵えたそうだが、
こんなものを投げられたら、どう考えても無事じゃすまなかっただろう。

振り返るとピーターが倒した見張りをロープで縛っていた。
死んでるんじゃないのか。というと、彼は柄が当たるように投げたから問題ないと答えた。
この人は本当にプロだったんだなぁ。


小屋から出てきた連中と乱戦になると、
さすがに気づかれたのか海賊船のサーチライトに照らされる。

直後、マーハッタワーヤ号の甲板に明かりが灯り、
丸く円を描くように振り回された。奪回成功の合図だ。

こっちも片付いたとヤヤ航海士、どう見てもほとんど彼がオールで殴り倒している。
私は準備していた松明に火をつけ、丸く円を描くように振り回した。
残った海賊船の連中があわてて上陸し来るのが見える。

だが、手漕ぎのボートしかもっていなかったのが運の尽きだったようだ。
浅瀬で小回りの利く小型漁船、
それも船首に食肉解体用の大型包丁を括り付けられた4番船がエンジンを吹かす。

海賊のボートに突撃した4番船はあっという間にすべてのボートを文字通り解体した。
海賊船の一隻が煙を上げ、向きを変え始めた。
マーハッタワーヤ号のサーチライトに照らされた海賊船の甲板上では砲撃の準備が行われている。

そして、マーハッタワーヤ号からは発進不可の合図が出されている。
いうまでもなく修理中のエンジンのせいだ。
連中がすぐに持ち去らずにここに置いていたのも、それが原因とみるのが妥当だろう。

全ての砲がこちらを向き、気の早い機関銃が発砲を開始、続けて砲撃音が響き渡る。
我々の隠れている岩がカリガリ崩れていく。これは恐ろしい。
隙を見て湾内を見ると我々の乗ってきた船団も攻撃を受けているではないか。


ー轟音、
喩えるなら、メーヒェ級戦闘艦の一斉射を至近距離で受けて
海賊船の甲板上構造物が根こそぎ吹き飛ばされるような、そんな音が湾内に木霊する。

岩陰から顔をのぞかせるとだいたいその通りのことが起こっていた。
あの船は相変わらず仕事が遅いな。つぶやくヤヤ航海士。
湾の南入口に姿を現したのはリバーマイ号だった。

突入直前に、海上で偶然遭遇したこの船は、岩礁を迂回してこちらへ向かっていたのだ。
遭遇時には海賊船と勘違いした我々が乗り込み、危うく同士討ちをする事態にもなったが、
結果として、素早く事態を飲み込んでもらえることに成功した。


今までどこにいたのか、沈んだのではなかったのかなど積もる話はあるが、
そんな事は後回しである。
我々は攻撃が止んだ隙に第二船団を呼び寄せ、乗り込む。

リバーマイ号が無傷のもう一隻に砲を向けると、あわてて海賊たちが飛び出し白旗を上げた。
終わったのである。
いや、終わってしまわずに済んだという方が正しいのかもしれない。


空を見上げると、いつの間にか星は雲に隠れていた。
攻撃を受けた海賊船が燃える明りに照らされながらしばし考える。
これから再開されるであろう探検の事を。




12/19(日) 十二日目

☆十二日目☆ "架空探検船"の航海日記。
マーハッタワーヤ号奪還作戦から三日が経過した。
これより探検船団は海賊から取り戻した二隻の盗難船を返すべく、
進路を西に新大陸へと向かう。

ただでさえ遅れている日程がさらに遅れることになるのだが、
新大陸政府から礼金をせしめて船を替えた方が早いとの意見が出たため、
そちらを優先することとなった。

こうして我々は思いの外長く世話になったセントカハンサ港を後にする。

−虚歴1040年、12月20日、セントカハンサ港、快晴−



この三日の間にあった事について話そう。
船長と酒場の店主の目論見通り、海賊たちには賞金がかけられていた。
店主は船長の実力と賞金の事を知った上で、作戦用の船を手配したらしい。

さらに運がいいことに、作戦の際手に入れた盗難船は全て新大陸船籍ときた。
このことが原因で、スポンサーと奪還部隊の間で獲得金の取り分をめぐって争いが起きる。
解決に一日を費やした。


海賊船からマーハッタワーヤ号へのエンジンの載せ替えが完了する。
調子は極めて良好である。

一方、リバーマイ号は主砲発射の衝撃で古傷が開き、
今日やっと修理が完了した。本当に困った用心棒である。


さらに我々を困惑させた事がある。
行方不明の間どうしていたのかという問いに、リバーマイ号乗員は皆首をかしげたのだ。
リバーマイ号の航海記録では我々が見失った12月13日の夜に我々と合流している。

いろいろと話を聞いていくうちに、一つの仮説が立てられた。
リバーマイ号は12月13日未明モビ諸島沖で12月17日へと時間移動した、と。
酒場の店主はモビ諸島沖ではよくあることだと言っていたが、にわかに信じがたい。


あと、連絡船の船長から聞いたリバーマイ号が沈んだというのは誤報で、
同型のイノリー号をそれと見間違えたそうだ。
ちなみに沈没原因は砲撃訓練中に生じた船体の亀裂から浸水したのが原因らしい。

リバーマイ号の船長曰く、火力と船体強度が釣り合っていない設計に問題があるそうだ。
そんなものを中古で買わされたのか。あの時の自分が憎い。


最後に残念な報告をしなくてはならない。
奪還作戦の際にメホゾカ植物博士を失ってしまったのだ。

作戦時、海賊船の機銃掃射を受けた1番船の舵を握っていたらしい。
最期まで先頭切って船員たちをいい方向にも悪い方向にも導いた良き暴走紳士であった。

私と同室のテリドは彼の大ファンだった。
博士が亡くなってからはずっと植物図鑑で勉強をしている。将来植物博士になりたいそうだ。
何か勘違いしているみたいだが、本人が満足ならそれでいいのだろう。

ーと、
何かを思い出したようにテリドが立ち上がる。
今際の際に博士から船長に言伝があった事をすっかり忘れていたらしい。

なんて言ってたんだ?
「箱の事を頼む」テリドはそう答えた。
はこ?、"後の事"の間違いではないかと私は言ったが、確かに箱だったと彼は言う。


船長室へ向かう彼を見送ると、
窓から久しぶりに水平線しか見えなくなった外へと目をやる。

航海13日目、
私はまだこの航海の本当の意味を知らない。



めでたしめでたし。
え?第一部完とかじゃなくて?
このコーナーだけで日記埋まりそうだし。
(今回はペナルティなかった)



おまけ




第一部完。
まあ、第二部なんてないんですけどね。
ByハルマK7